MAMIYA CULTURE LOG


『出会って4光年で合体/太ったおばさん』感想 ※成人向け漫画

1,337文字
著者太ったおばさん
発行日2023年6月17日
ジャンル成人向け漫画
サイエンス・フィクション
伝奇
ページ数382ページ

【作品コメント】
表紙+本文382pの作品です。
お話は読んでのお楽しみ。

出会って4光年で合体(DLsite)

『出会って4光年で合体』読了。

3時間かけて一気に読み切った。

終始HUNTER×HUNTERばりの文章量で、漫画を読んでいるというより濃密なSFエロゲをプレイしている感覚に近い。気軽に読み始めたはずなのに、気付けば完全に作品世界へ没入していた。

最初は「設定のクセが強い同人作品なんかな〜」くらいの気持ちだった。タイトルもかなりインパクトあるし、正直ネタ寄りの作品を想像していた部分もある。でも実際は、その印象を良い意味で裏切られた。ポルノ作品でありながら、本番そのものより、そこへ至るまでの積み重ねと世界観の説得力が異常に強い。

超ざっくり言えば宇宙規模のセ〇クスしないと出られない部屋なんだけど、「なぜそうなるのか?」に対するSF的な理屈付けと熱量が本当に凄い。点と点が線になっていく感覚が気持ち良い。SFミステリとして完成度が高いし、「エロ同人だから」と油断してると普通に物語へ殴られる。終盤のカタルシスが凄まじい。読後、「合体」というタイトルの意味合いすら変わって見える。

キャラクター達も、ただエロのために存在してる感じじゃないのが良かった。それぞれ孤独や執着、満たされなさを抱えていて人間臭さがある。後半になるほど感情移入してしまう。

好きなものは一つずつ減っていった。ひとりぼっちなことは怖くない。ひとりぼっちだったと気付く朝がこわい。向いてない仕事をするより、自分に向いているものってあるのだろうかと考えるほうが怖い。単純作業は心が落ち着く。何にもしなくても壊れていく心が、何もしてないよりも悪くなることはなかった。人並みの仕事をできるときもあった。でも、自分のことを隣の人間よりも価値がないと思っている人間が、隣の人間と頑張って同じことをできたときに得るものは達成感だけではなくて、そのとき明らかになる、足りないぶんの価値のどうしようもなさだった。隣の人間より価値のない自分が隣の人間と同じことをできただけで、自分の何も許してあげられないのが辛かった。

221ページ目の文章が個人的にかなり刺さった。
社会の中でうまく適応できない苦しさの解像度が高くて、生々しい。

だからこそ この作品で描かれるエロが単なる性欲ではなく、救済として機能しているのが凄いんよな。性癖とSFと作者の熱量が、奇跡みたいなバランスで成立している。同人だからこそ辿り着けた作品だと思う。読んでいて、執念みたいなものを感じた。

もっと早く読んでおけばよかった……という気持ちと、自分が生きてるうちにこれを超える衝撃の作品にまた出会えるんだろうか?という気持ちが同時に来る。

ポルノ耐性ある人にはかなりオススメ。エロ目的で読み始めても、気付いたら壮大なSFとして脳を焼かれてるタイプの作品だった。

マンガ大賞2024一次選考作品 『出会って4光年で合体』太ったおばさん

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