| 著者 | 夏木 志朋 |
| 出版社 | ポプラ社 |
| ページ数 | 367ページ |
| 発売年月 | 2022年9月 |
【あらすじ】
https://www.poplar.co.jp/book/search/result/archive/8101454.html
どうしたら普通に見えるんだろう。どうしたら普通に話せるんだろう――。いつもまわりから「変」と言われ続けてきた高校生の田井中は、自分を異星人のように感じていた。友だちが欲しいなんて贅沢なことは言わない。クラスのなかで普通に息さえできたなら。そのためならば、とむかしから好きでもない流行りの歌を覚え、「子供らしくない」と言われれば見よう見まねで「子供らしく」振舞ってもみた。でも、ダメだった。何をやっても浮き上がり、笑われてしまう。そんな田井中にとって唯一の希望は、担任の美術教師・二木の存在だった。生徒から好かれる人気教師の二木だったが、田井中はこの教師の重大な秘密を知っていたのだ。生きづらさに苦しむ田井中は二木に近づき、崖っぷちの「取引」を持ち掛ける――。社会から白眼視される「性質」をもった人間は、どう生きればよいのか。その倫理とは何か。現代の抜き差しならぬテーマと向き合いつつ予想外の結末へと突き抜けていく、驚愕のエンタテインメント。2019年ポプラ社小説新人賞受賞作。
マイノリティ側の生きづらさという情緒の面では、正直そこまで目新しさは感じなかった。ただ、もしこれを10代の頃に読んでいたら、間違いなく主人公に強く感情移入していたと思う。
一方で、アラサーの今読むと、二木先生の生き方に共感してしまう部分が多くて、むしろそちらに強く惹き込まれた。気づけば二木先生目線で物語を追っている自分がいて、この先の彼の物語も読んでみたいと思ってしまう。
拗らせた男が好きという性癖込みで読んでいる自覚はあるので、ちょっとした罪悪感もありつつ…… それでも二木先生の人間味があまりにも刺さって、かなり興奮した。正直、二次創作があったら漁りたくなるレベル。
最近は活字離れ+ドーパミンに慣れきった状態になりつつあって、その危機感から小説を手に取ったんだけど、ちゃんと文章からでも “快感” を得られるんだと再確認できて、少し安心したというか。
何より、途中で飽きることが一切なくて、ページをめくる手が止まらなかった。素直におすすめできる一冊。