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【雑記/成人向け】2026上半期に摂取したBL作品を振り返る

6,905文字

2026年も気づけばもう半分が終わっていた。

ここ数年、自分の中でひとつ意識していることがある。

「逆張りしすぎないこと」

昔はどこかで、流行っているものみんなが好きなものに対して、素直に乗れない自分がいた。ミーハーであることに、どこかコンプレックスのようなものも抱えていた気がする。

でも最近になって思う。世間的に広く受け入れられているものには、それだけの理由がある。自分に刺さらなかったとしても、「なぜ刺さらなかったのか」を考えることで、むしろ作品やジャンルに対する解像度は上がることもある。

そういう意味で、ここ数年はジャンルを絞らず、かなり素直にいろいろなものを摂取するようになった。

その中でも今回は、あえて BL に絞って振り返ってみたい。

自分がBLを好きになってから、気づけば20年ほど経っていた。

もちろんずっと好きだったわけではない。波はあるし、離れていた時期もあるので、いわゆる語れる歴史があるタイプではないと思う。

それでも不思議と、少し距離を置いたあとにふと触れると、また心が満たされる瞬間がある。「ああ、自分はこれが好きなんだな」と、静かに思い出すような感覚。

子どもの頃は、未知の世界に触れるワクワクと、どこか見てはいけないものに触れているような背徳感が混ざっていて、それが妙にドキドキしていた。

今はその感覚も含めて、ひとつのファンタジーとして楽しんでいる。現実とは違う場所で、感情や関係性の極端な濃度を摂取するような感覚に近い。

そして正直なところ、現実が少ししんどい時期ほど、こうした作品に強く引き寄せられている気もする。ある種の避難場所なのかもしれない。

ただ一方で、昔からの名残なのか、BLはまだどこか隠れて嗜むものという意識が自分の中に残っている。

けれど今は、世間的な認知も広がってきていて、「好きなものを好きと言葉にすること」自体は、そこまで後ろめたいことではないのかもしれないと思うようにもなった。むしろ最近は、強く感じた作品ほど、ちゃんと外に出しておかないと頭の中がいっぱいになってしまう。熱量の高い感想ほど、書かないと消化しきれない。

だから今回、「上半期」という節目で一度整理してみることにした。

……ただ、振り返ってみると、数ヶ月前の記憶ですら意外と曖昧になっている。これは正直、少し反省点でもある。本当は毎月くらいのペースで軽くでも記録しておいた方がよかったのかもしれない。

そんなことを思いながら、とりあえず思い出せる範囲で、今年1月から摂取してきたBL作品を順に書き出していこうと思う。

2026年 1月 読了

コミックス

2026年 2月 読了

コミックス

2026年 3月 読了

コミックス
同人

2026年 4月 読了

コミックス
Webtoon
ゲーム

2026年 5月 読了

コミックス
Webtoon
同人

2026年 6月 読了

コミックス
小説
Webtoon
同人

本来であれば、一作品ずつ丁寧に感想を残したいところである。

ただ今回は、コミックスWebtoon同人 の中から、特に印象に残った作品だけをピックアップして振り返ることにした。

すべてを書こうとすると確実に文字量と情緒が爆発するし、今のうちに強く残っているものを切り出しておきたい。


今回のピックアップ

・ビジュアルや空気感が脳に焼き付いた作品
・一瞬で「これは刺さる」と確信した作品
・何度も読み返したくなる闇BL作品


以下、感想。※ネタバレ注意


武闘派脳筋従者 × 頭脳派美人従者

コミックス

『兎太と烏堂』著者 tacocasi

むかしむかし、仙人の住む山々に囲まれた、ある国で――。 出世街道をひた走っていた美貌の文官・烏堂(うどう)は、計略により左遷され、 変わり者の第四皇子・宇斗(うと)とその専属護衛・兎太(うだ)の世話係となる。 主従三人で旅に出るが、同じ従者という立場でありながら、無口で無骨な兎太とは相性が最悪で……?! 王子の番犬と、したたかな世話係。 異国を舞台に繰り広げられる、従者×従者BL!

光文社

中華風の異国情緒ある世界観と、独特な絵柄がかなり好みに刺さった。

普段そこまで、いわゆる「ケンカップル」には食指が動かないタイプなのだけど、本作は最後まで読むと単純にそう括れない魅力があった。恋人とも相棒とも家族とも少し違う、従者2人の関係性に名前を付け難い距離感がとても心地良い。

組み合わせとしては、

兎太(攻)
皇子の護衛さえできれば他はどうでもいいと考える、無骨で無神経な武闘派。

烏堂(受)
出世欲が強く、自分の美貌すら武器として使う頭脳派。したたかで要領も良い。

見た目も性格も真逆。

最初は互いへの印象もかなり悪いところから始まる。一緒に旅を続けるうちに、自分にはないものを持っている相手を少しずつ認めていく過程が本当に良かった。

あと年下×年上要素も個人的にかなり刺さる。

最後の方になると、もう恋愛的なドキドキというより、夫婦みたいな安定感すら感じてしまった。休みの日に従者2人でダラダラしている場面なんか、ただ眺めているだけで幸せになれる。それだけの外伝とか読みたい。

そして何より。

烏堂のビジュが完全に自分の癖だった。

黒髪長髪美人。中性的な顔立ちなのに骨格や性格にはちゃんと男性らしさがある、そのギャップが良い。

ただ、自分は「長髪男子なら何でも好き」ではない。細かい話をすると、肩に垂れる長髪のU字ラインとか、うつ伏せになった時に背中へ流れる髪の散らばり方とか、そういう描写に色気を感じる。

サラサラした髪の流れや重力感というか、「生きてる髪」の描き方に艶を感じる。烏堂の長髪は完全に好みのそれだった。

神は細部に宿る。頼む、伝わってくれ。

あと脇役に関して、第四皇子・宇斗も良かった。変わり者扱いされているけど、妙に存在感がある。非常に可愛らしい。そして未来で偉大な仙人になった姿も見てみたくなる。

あと、目元を隠している殿下。口元だけで「あ、この人絶対美形だろ」と想像できてしまうミステリアスさがある。

読後、「この作者さん他の作品も追いたいな」と素直に思えた。好きなキャラがいた、だけじゃなくて「tacocasi先生の描く空気感をもっと見たい」と思わせる作品だった。


エジプト神話BL

電子限定配信フルカラーコミック

『ENNEAD』著者:MOJITO

神を貪るのは誰だ――――

遥か遥か昔。
「エネアド」と呼ばれる九柱神のうちのひとり、セトの暴政にエジプトの地は疲弊していた。他の神々までセトに頭を下げるなか、まだ神に名を連ねていない若者ホルスが反旗を翻す。

傲慢で奔放なセトを玉座から引きずり落とさんと戦いを挑むホルス。
二人の関係は次第に執着と欲望を孕んで…!?

エジプト神話をもとにした一大叙事詩BLがここに開幕!

ENNEAD 特設ページ

「エジプト神話BL ……?」

今まで自分が触れてこなかったジャンルに好奇心を擽られて手を出したのだけど、数話読んだ時点で「これはヤバい」と察した。

神話ってやっぱり良い。

色んなファンタジー作品で名前や断片的な設定だけは知っていても、ちゃんと触れてみると予想以上に奥深い。知識欲を刺激されるし、「ここからこんな解釈や物語が生まれるのか」と想像が広がる。

そして神話モチーフ作品って、原典をベースにしつつ、どこを残してどこを膨らませるかに作者の個性が出ると思っているのだけど、『ENNEAD』はその膨らませ方がかなり好きな予感がする。

そしてまず作画が良い。めちゃくちゃ良い。

エジプト神話特有の妖艶さというか、神秘性と色気と禍々しさが全部同居している感じ。特に縦読み形式だからこそ序盤の世界説明が、絵巻物をゆっくり広げているみたいに見えて惹き込まれた。

「説明パートなのにずっと画面が気持ちいい」みたいな感覚。

登場人物も多いし関係性もかなり複雑なのだけど、毎話相関図が挟まれるのもかなり親切だった。

「待って、この神誰だっけ……?」でテンポが止まらないのありがたい。

そして途中で直感が働いた。

「これ絶対自分に刺さるやつだ」

なので名残惜しいけど読むのを止めた。

なぜなら単行本(全6巻)があると知ってしまったから。

これは紙で欲しい。

もちろんWebtoon前提で作られているから、縦読みの迫力や演出は紙だと多少変わるのかもしれない。

でもそういう話じゃない。これは手元に置きたくなるタイプの作品。ページをめくりながら、好きなコマで止まって、じっくり眺めたくなる。

そう確信した。

まだ序盤なのに。

単行本で最後まで読了したら、改めて情緒ぐちゃぐちゃ状態で感想を書きたい。


騎士 × 王様

騎士が王様を洗脳する暗めBL

同人作品

『騎士と王様』作者:犬太郎

没落した王様と、その幼馴染の騎士のお話です。
暗めの話ですが、常識改変洗脳系なのでエッチシーンの無理やり感は少なめです。攻めの執着心が高めです。

騎士と王様 [福来たる] | DLsite がるまに

同サークル作品の一緒にいようよ』『ハッピーエンカウントを先に履修済み。どちらも人外×人間BL作品なのだけど、種族差があるからこその距離感や価値観の違いが魅力的だった。単純な恋愛ではなく、相手を理解し寄り添うまでの過程に説得力があって、「違う存在同士だからこそ生まれる愛」を描くのが本当に上手いサークルさんだと思う。

そして今回の『騎士と王様』

こちらは人間同士のカップリング

メリーバッドエンド
しかも大変良質な闇BL

基本ハピエン厨の自分ですら、何度も読み返したくなるタイプの作品だった。

来世では幸せに――

……なる未来も見てみたいが、複雑に絡まり切った感情の美しさ自体が作品の魅力なんだろうなとも思う。

没落した王・ロユと、その忠臣であり、幼馴染であり、親友でもあった騎士・センデュア

ロユは自らの保身から国民も親友も切り捨ててしまった未熟さと、その罪を背負うことになる。一方、反乱をきっかけに地位も名誉も手にしたセンデュアは、自分を裏切った王から命も尊厳も人生も奪っていく。

普通ならそこで関係は終わるはずなのに、終わらない。

外の世界では革命は終わっていて、世界は前へ進んでいるのに、監禁部屋の中だけ時間が止まってる。

外の世界から切り離された、歪んだ二人だけの世界。

この閉塞感がたまらない。

そして細かい描写が本当に良い。

ロユの一人称が「私」「俺」で揺れるところ。

センデュアが「王」と呼ぶか「ロユ」と呼ぶか。

ここ!!!!!!!

ここなんですよ!!!!!!!!

今見ている相手は誰なんだ。

支配している王なのか。

昔の幼馴染なのか。

憎んでいる相手なのか。

愛している相手なのか。

全部混ざってる。

全部。

きっと、センデュアは幼い頃からロユのこと好きだったのだろう……。

幼馴染の距離感で誤魔化していただけで、ずっと好きだっただろ!!!!!!

反乱がなければ、その執着も想いも隠したまま、一生「騎士と王」という関係性だけで終わっていたはず。

だから立場逆転した瞬間に感情のダムが決壊してるんですよ。長年積もった湿度がドロドロ流れ出してる。

俯瞰するとメリバ。

でもセンデュア視点で見ると、たぶんこれ以上ない幸福なんですよね。

欲しかったものを手に入れてしまったから。

でもそれが幸せかと言われると違う。

でも愛ではある。

そして選択肢をことごとく外し続けたロユの不器用さや滑稽さが、人間臭くて愛おしくも感じた。

生かされたことは救いだったのか。

それとも――。

たった40ページでここまで感情を掻き乱されるとは思わなかった。

作者様に感謝しかない。

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