MAMIYA CULTURE LOG


ドラマ『白い巨塔(2003年版)』感想

1,198文字

権力や名誉欲に翻弄される天才外科医・財前五郎

人の命を無欲で救いつづける内科医・里見脩二

対照的な二人の生きざまと、彼らを取り巻く人間たちの濃密なドラマを描くことにより、現代医療の持つ問題点、人間の愚かさと弱さ、人間の不可解さに迫る。

BS12

『白い巨塔』(2003年版)全21話見終わった。

平日のど真ん中に見始めたことを後悔するくらい面白かった。

2話まで見た時点で「これは危険だ」と察してNetflixを閉じた当時の自分を褒めたい。

キャストも豪華過ぎるし、みんな若い。今ではベテランの伊藤英明さんや佐々木蔵之介さんが若手医師役なのも新鮮だった。画面から漂う平成初期の空気感も心地良い。

教授選挙編は本当に息苦しかった。

医療ドラマを見ているはずなのに、やっていることは完全に政治劇。東教授や鵜飼教授に何度「お前らなぁ……」と思ったことか。

その一方で大河内教授の存在感は凄かった。権力に媚びず、自分の信念を貫く姿勢が眩しい。

そして里見先生。

個人的にはずっと気持ち里見派だった。遠回りで不器用だけど、患者と誠実に向き合い続ける姿はやっぱり格好良い。

ただ、不思議なのは財前五郎を嫌いになれないこと。

野心家で傲慢。

権力欲も強い。

なのに、彼が報われない姿を見るのもしんどい。

教授選挙で勝利した時は素直にホッとしたし、同時に「このまま東教授2号になってしまうのでは」という不安もあった。

そして終盤。

財前がどう変わっていくのか。

どんな結末を迎えるのか。

そこに期待しながら見ていた。

だからこそラストはもう「無念」の一言に尽きる。

本当に、生きてさえいれば。

財前なら。

そう思わずにはいられなかった。

あまりにも皮肉で、あまりにも残酷だった。最終回のタイトルを見た瞬間だけは思わず「オイッ!」と声が出たけれど。

でも振り返ると、あの結末以外では成立しなかった気もする。

財前五郎という男の人生。

成功と挫折。

傲慢さと才能。

弱さと執念。

その全てが最後に収束していく構成は見事だった。

そして何より好きだったのは財前と里見の関係性。

考え方も価値観も真逆。

何度も対立する。

それでも根底には互いへの敬意がある。

単なるライバル関係ではなく、相手を認めているからこそぶつかり続ける。あの関係性が本当に熱かった。

医療ドラマであり、政治ドラマであり、人間ドラマでもある。ここまで完成度の高い作品が20年以上前に作られていたことにも驚かされた。

最近の楽しみが「寝る前に白い巨塔を見ること」しかないレベルで没入していたので、見終わった今は完全にロス。

久しぶりに「名作を見たなぁ……」としみじみ思えるドラマだった。

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