| ジャンル | 陸上競技 |
| 作者 | 魚豊 |
| 出版社 | 講談社 |
| 掲載 | マガジンポケット |
| 巻数 | 全5巻 / 全2巻(新装版)全40話 |
| 発表期間 | 2018年11月6日 – 2019年8月6日 |
生まれつき、足が速かった。他には何も持っていなかったが、速く走ることだけでよかった。それは「学校での居場所」を生み、「友達をつなぐ橋」となった。それだけが、少年の全てだった。そんな彼が出会ったのは、辛いことを忘れるために走っている少年。彼は決して速くはないが、熱を持っていた。その熱に当てられて、次第に興奮を知っていく。しかし、それは「異常」の始まりだった。「100m」は全てを狂わせるのだ――。
「ひゃくえむ。/【第1話】」マガポケ
魚豊先生の作品だからある程度の覚悟はしていたけど、スポ根漫画だと思って読み始めたら、いつの間にか哲学書を読んでいるような感覚になっていた。メッセージ性の高さとスピード感のバランスが絶妙で、途中3回くらいは胸が熱くなりすぎて涙腺にきた。『スラムダンク』山王戦を読み終えた後のような満足感。
トガシと小宮、このまま最後までお互いが「呪い」のまま終わるのかと思っていたけど、ラストの対話からクライマックスにかけては、まるで答え合わせをしていくような爽快感があって気持ちよかった。最終的にどちらが優勝したのか—— この物語においては(そもそも何のために走っているのか、という問いにおいては)もうどちらでもいいんだろうな、というのが個人的な解釈と余韻。
好きなキャラは仁神部長と海棠選手。ただ、財津選手のセリフがあまりにも良すぎて、そのカリスマ性にはやっぱり抗えないものがある。人生のここぞという場面では、心の中に財津選手を置いておきたくなるというか…… むしろこのキャラのスピンオフ(生い立ち)が読みたくなった。
何かしら勝負の世界に本気で向き合った経験がある人なら、『ひゃくえむ。』を読んで心を揺さぶられる瞬間がきっとあると思う。自分は昔、空手や剣道をやっていた頃の記憶が蘇って、胸がぎゅっと締め付けられた。